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IT対策部会がCALS/ECで県と意見交換

IT対策部会が県と意見交換
IT対策部会が県と意見交換

本年度下期から、1億円以上の工事を対象に県の電子入札がスタートします。また、8月には県をはじめ大半の県下自治体等で組織している「静岡県電子入札共同利用者協議会」が設立されるなど、業界にとっても建設CALS/ECへの対応は、避けて通ることはできません。そこで今回の特別企画では、9月8日に行われた県協会IT対策部会と県土木部とで行われた県CALS/ECについての意見交換のもようなどを紹介します。意見交換会には、県土木部から寺田浩司建設政策統括監、鈴木光好技術管理室長、技術管理室OA効率化推進スタッフが出席。IT対策部会からは、秋山錠介担当常任理事、上條紀英委員長をはじめ部会メンバーが顔をそろえました。

電子納品の取組み

静岡県におけるCALS/EC推進体制
図A(クリックで拡大)

意見交換に先立ち、県側から電子入札や電子納品など、県のCALS/EC(公共事業支援統合情報システム)についての取組み状況や今後の展開方針の説明がありました。静岡県におけるCALS/ECは、県や市町村、県建設業協会などで組織する「静岡県CALS/EC推進協議会」で進めてきましたが、14年7月には静岡県自治体電子入札推進コンソーシアムが設立され、本年8月には静岡県電子入札共同利用者協議会がスタートするなど、電子入札などの本格的な運用はカウントダウン段階になっています。(図A)(図B

CALS/EC(公共事業支援統合情報システム)の具体的な要素とは、(1) 電子調達(PPI、電子入札) (2) 電子納品(調査、設計、工事の各成果物の電子化) (3) 情報共有(調査、設計、工事のプロセスの電子化) (4) 維持管理(GIS「地理情報システム」の活用)のことを指しています。そのうち、県の電子納品を見ると「県CALS/ECアクションプログラム」に基づき、「工事完成写真」「工事文書関係」「委託業務」に分類して拡大を図っていくことにしています。工事完成写真の電子納品拡大計画は16年度が5000万円(設計価格、以下同じ)以上、17年度が2000万円以上、18年度からは全工事で、工事文書関係(発注図面、特記仕様書、施工計画書など)の電子納品拡大計画は16年度が1億円以上、17年度が5000万円以上、18年度が2000万円以上、19年度からは全工事で、委託業務の電子納品拡大計画は16年度が2000万円以上、17年度が1000万円以上、18年度が500万円以上、19年度からは全業務が対象となります。

静岡県CALS/ECのウエブサイトは、http://www.cals-shizuoka.jp/

静岡県CALS/ECアクションプログラム推進状況
図B(クリックで拡大)

電子入札の取組み

入札参加者が必要な準備
入札参加者が必要な準備(図C)

県は1億円以上を目安にした大規模工事を対象として、本年度下期から電子入札を開始します。また、静岡県電子入札共同利用者協議会に加盟している市町村の一部でも17年度から運用を始める予定です。電子入札に係る静岡県のシステムの特徴は、国(JACIC)のコアシステムの採用と市町村とのシステムの共同利用(共同アウトソーシング)です。このため、入札参加者は発注機関(国、県、市町村など)にかかわらず同一の操作で対応できることになり、メリットは大きいものと考えています。また、システムの管理・運用を共同アウトソーシングすることにより、行政側にとっても運営コストの削減と行政事務の効率化が図られる効果があります。

入札参加者が電子入札によって応札するための準備として、(1) インターネットに接続できるパソコン (2) 電子入札用ICカード (3) ICカードリーダーを事前に準備した上で、県のシステムでICカード登録を行う必要があります(図C)。

運用基準を要約すると、≪電子入札実施の考え方≫−県が電子入札で行うと指定した案件については、電子入札システムで処理するものとし、原則として紙媒体での参加申請書や入札書の提出は認めません。≪ICカードの基準≫−電子入札を利用できるICカードは、静岡県の建設工事または業務委託等の入札参加資格申請をした代表者、またはその受任者のICカードに限ります。≪利用者登録≫−初めて電子入札システムを利用する場合や、新しくICカードを取得した場合は、利用者登録を行う必要があります。≪紙入札の扱い≫−原則として紙入札は認めません。やむをえない理由としては、(1) WTO対象案件 (2) 会社名の変更により、ICカードの再取得が間に合わない場合 (3) ICカードの閉塞等により再発行手続き中の場合 (4) その他−等です。電子入札導入一定後は、紙入札の承認について厳格に扱う方針です。

工事の電子入札導入拡大計画
図D(クリックで拡大)
委託業務の電子入札導入拡大計画
図E(クリックで拡大)

電子入札の拡大計画を見ると、工事の電子入札の場合、16年度下期からは1億円以上の工事を対象とし、17年度以降順次対象を拡大して19年度からはすべての工事を対象とする予定です(図D)。一方、委託業務の電子入札の場合は、16年度下期からは2000万円以上の委託業務を対象とし、17年度以降順次対象を拡大して19年度からはすべての委託業務を対象とする予定です(図E)。

また、県と市町村との共同アウトソーシングを円滑に進めるため8月5日、静岡県電子入札共同利用者協議会が設立されました。この協議会では、電子入札システムを管理運営する事業者の選定や運営費用、各自治体の費用負担などを協議します。入札参加資格申請をオンライン化する「入札参加資格申請システム」の導入も検討していきます。

電子入札Q&A

県土木部担当官とIT対策部会委員との意見交換では、次のような質疑応答がありました。

Q. ICカードは、国土交通省と県とでは別のものが必要となるのでしょうか?
A. ICカードに登録された名義の問題はありますが、国土交通省も県も同じカードを使用することができます。

Q. 電子入札が軌道に乗れば、その後の入札はすべて一般競争入札になるのでしょうか?
A. 電子入札の運用と入札・契約制度とはまったく別のものです。

Q. これまで国土交通省で実施している電子入札を見ていると、再入札の場合などかなり時間がかかり、業者側の担当者は長時間、パソコンの前から離れられないケースもあったと聞きましたが?
A. 県の運用基準では、再入札は翌日実施を基本としていますので、会社で待機している必要はありません

Q. 近い将来、業者の企業規模に関わらず電子入札対応の環境が整っていなければ、公共事業に参入できなくなるということなのでしょうか?
A. 当面、受注側の環境が整うまでフォローアップはしていきますが、いずれ時期がきたら電子入札オンリーになります。

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