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CLOSE UP 今こそ「報徳精神」を!

インタビューの様子

これは尊徳の名言、お金が目的化した殺伐とした現代、企業・個人ともに肝心なものを見失っているこの時代に、二宮尊徳の「報徳思想」を普及する大日本報徳社(本社・掛川市掛川1176、榛村純一社長)。10月26日には報徳思想に学ぶ「思いやりのある人づくり、夢のあるまちづくり」をテーマに、第14回全国報徳サミット掛川市大会が開かれる。

国民、社会からの信頼に応え、企業の社会的責任(CSR)を果たすため、建設業においても行動規範が求められている。静岡県建設業協会広報委員会(原廣太郎委員長)が、榛村社長に報徳の精神を聞いた。


大日本報徳社・大講堂
第14回報徳サミット掛川市大会
二宮尊徳像
左:原廣太郎委員長 右:榛村純一社長
榛村純一社長

■今年は全国大会を開かれるということですが。

大規模修復工事を進めていた大講堂が今年1月に完成したことを記念して、第14回報徳サミット掛川市大会が10月26日に開催されます。二宮尊徳は小田原生まれでしたが、その高弟にあたる岡田佐平治、良一郎親子が「遠江国報徳社」を明治8年に設立し、以来、掛川市が尊徳思想による「報徳運動」の拠点となっています。

■尊徳といえば、マキを背負って本を読む二宮金次郎の銅像を思い浮かべますが。

戦前は全国の小学校の校門にあり、働きながら精神的にも向上しなくてはいけないという教育理念の根幹として、勤勉・向学の象徴でした。14才の少年像ですから、押し付けがましくなく、近代化へ向けて上り坂の日本にとっての指導理念とも合致したのです。しかし戦後、軍国主義教育の反動の誤解から姿を消し、日本人は道徳を語ることがなくなりました。

■象徴がなくなったことで、日本人が古来持っていた道徳観念が急速にしぼんでいったわけですね。

拝金主義や数値のみの価値観に偏り、お金を稼ぎ何をするかではなく、お金にならないことはムダという社会になってしまった。幸せということについても、現代は自分一人の幸せを追求することが主眼で、家族を忘れ、家庭の崩壊などを招いています。

■そうした社会から、尊徳の教えが見直されてきているわけですね。

報徳の思想を形成する4つのキーワードがあります。「至誠」「勤労」「分度」「推譲」です。

2002年、中国の北京大学から尊徳思想についての講演依頼がありました。中国は経済至上で25年間突っ走ってきたわけですが、汚職・環境破壊と所得格差と地域格差の三大問題が露呈してきています。中国としては道徳と経済を両立させる教えとして、尊徳思想にたどり着いたわけです。

■日本より中国が尊徳思想の有用性を見出してきているわけですか。

東洋諸国の中で、日本が唯一植民地にならず、唯一G7に入った成功の理由について、中国の学者が研究し、典型的な日本企業の創業者について調べました。豊田佐吉と松下幸之助ですが、ともに尊徳の教えが基本にあることを知ったわけです。

■国際的にも尊徳思想の価値が注目されてきているわけですね。

日本人は自分で価値観を変えられないのです。ペリーが来て鎖国から開国し、マッカーサーでアメリカナイズされ、お金本位の価値観に変わりました。ホリエモンが「お金があれば人の心も買える」といった許されない発言をしたのも、戦後の間違った考えからです。

ただ日本人は、貧困からの脱却は得意ですが、豊かさの中では判断ができないわけです。ぺちゃんこから立ち直ることはできても、豊かさの中で生きる方向を見失っているのではないでしょうか。

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