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「富士スピードウェイ」F1開催視野にリニューアル

富士スピードウェイ(株) 取締役社長 島田久光
富士スピードウェイ(株)
取締役社長 島田久光
(しまだ・ひさみつ)

1966年の開業以来、日本のモータースポーツ発展に大きな役割を果たしてきた富士スピードウェイが今年4月にリニューアルオープンした。

約1年をかけ大改修を行った目的は

「オープンから約40年が経過し、車の性能やサーキットに求められるさまざまな環境が変わってきました。改修方法はいろいろありましたが、将来的なことも考え、FIA(世界自動車連盟)が定めるF1も開催可能なライセンス「グレード1」を獲得した。この基準は舗装面で言うと4mの舗装面で±2mmの平滑性を求めているが、このサーキットは更に上回る±1mm以内の精度で仕上げてあります」

F1開催も視野に入れての改修ですね

「改修のガイドラインはクリアしており、ハード面は開催が可能です。しかし、F1開催には我々の力だけではなく、地域の皆様のバックアップも必要です。ここで改修が終わったので、1年間は国内レースを中心に展開し、来年から新しい方向性を展開していきたいと思っています」

レース開催時には渋滞などの問題点があると思いますが

「大きなイベント時には交通渋滞など近隣住民にご不便をおかけしています。イベント開催地には、我々としてもスムースに運営できるよう、地元住民や地元自治体、県、静岡県警などにご協力いただき、問題解決に最大限努力を図っていきます。しかし40年間この地でお世話になり地元と歩んできた歴史があります。これを大切にし、地元の皆様と共に頑張ってまいりたいと思います。」

インスタンド(支柱のない特別な工法で構築)
メインスタンド(支柱のない特別な工法で構築)
メインスタンド裏側とイベント広場
メインスタンド裏側とイベント広場

リニューアル後の観客動員に変化はありましたか

「モータースポーツ全体のパイはあまり変わっていないので大きな変化は見られません。ハードは整ったので、積極的に情報発信を行い、モータースポーツ全体のパイを拡大することを大きな目標として、我々も出来うる限りの努力をしたいと思います。」

海外と日本のモータースポーツの違いは

「ル・マン、インディなど海外のサーキット、モータースポーツは地域、国によって特色がある。モータースポーツの世界も日本の国民性同様に主義主張が得意でない。最高峰のハードが整ったわけですから、日本の象徴である富士山の麓という付加価値を積極的にPRしながらこの素晴らしいロケーションを生かしたソフトを構築していきたい」

地域を代表する素晴らしい施設が完成したわけですから、ソフト面を充実して積極的に活用してもらうことが今後の課題だと思います。レース以外での展開はどんなことを考えていますか

「ひとつには一般道路で体験できない滑りやすい路面や高速走行を体感できる高回路・バンクなどを備えた安全運転講習を学べる交通安全センター「モビリタ」があります。安全運転のために必要な運転のノウハウや車の基本性能を体感していただけます。ほとんどの一般ユーザーが車の性能を理解、発揮していないんですね。本当の車の性能を理解してもらうことは、自動車産業にかかわるものの義務だと思っています。ここで体験した人の言葉で印象に残っているのが『帰りの運転は車とコミュニケーションがとれた』。同じ道を運転しているのに体感すると違うんですね。これが我々が求めている付加価値なんです。また、改修前には野外コンサートやコースを自転車で走ってもらったり、マラソンもやりました。大切なのはこのサーキットに来ていただき何かを得てもらうことだと思います」

これからの自動車社会について

「過去のエンジニアとしての経験で申しますと、環境問題や事故などクリアしなければならないハードルは高い。しかし、エンジニアにも意地がある。人間の要求に合った車、コースを開発し、ドアツウドアの移動空間は大事にしなければならない」

我々としてもF1開催が楽しみです。ぜひ実現したいですね

「F1開催にはクリアすべきハードルがいくつかありますが、我々サーキットが旗振り役となり、国、県、地元自治体、などの皆様のご協力を頂きつつ、開催へ向けての気運を盛り上げていきたい。そのために我々はヨーロッパをはじめ全世界に小山町、静岡県の素晴らしさをPRしています。目先の損得でなく、長いスパンで考えればF1開催は必ず大きな財産になると信じています。」

インタビューのようす
インタビューのようす・沼津建設業協会広報委員会
(右から 林、田代、宮本)

関連リンク

富士スピードウェイ株式会社
本社(サーキット) 〒410-1307 静岡県駿東郡小山町中日向694
TEL: 0550-78-1234(代) FAX: 0550-78-0205

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