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 新しい「静岡市」が、4月1日にスタートした。人口約70万人は全国で15位、面積1400平方キロメートルは市では全国一の広さの新都市の誕生である。「心と自然を尊ぶ市民が築く、人間躍動都市」を将来像に、「自立と参加」「共生と持続と循環」「承継と創造と交流」の三つを基本理念に据えて、新しい都市づくりが始まった。
 この静岡市の建設投資市場は、県内でおおよそ15%前後を占め、約3000億円程度と見られる。1市の建設投資額としても決して小さい市場ではない。新市の誕生が、どの程度建設市場に影響するかの予測はむずかしい。しかし、総事業費5582億5000万円を投じて推進される「新市建設計画」(平成15年度〜24年度の10年間)などにより、建設市場の活性化に期待が集まる。
 新市の入札制度は、旧静岡市と旧清水市の「事務すり合わせ協議」で、入札制度、等級格付けなど入札関係は、当面は2本立て、つまり1市2制度であり、旧の両市の行政界で従来通りの制度、要領で実施されることになった。また、新市には現在、清水建設業協会と静岡建設業協会の二つの建設業協会がある。合併に伴ってこの二つの建設業協会が合併するといった具体的な話は今はない。しかし、新市は、2年後に政令指定都市を目指しており、その時点で入札制度などの1本化されるだろうし、建設関係の団体だけではなく、多くの団体の合併・合同が予想される。
 そこで、平成13年5月1日に合併し、この4月1日に政令指定都市になった埼玉県の「さいたま市」の建設業団体は、どのような経緯をたどったのか、昨年5月に静岡建設業協会青年部が、さいたま市建設業協会の幹部を講師にして行った意見交換会の資料をもとにみてみた。

※さいたま市 浦和市・大宮市・与野市の3市が平成13年5月1日に合併。面積168平方キロメートル、人口105万人。平成15年度の一般会計予算は3335億円(政令指定都市に伴う財源増で前年度比12%増)。本年4月1日全国で13番目の政令指定都市となった。

平成12年9月5日 浦和市・大宮市・与野市合併協議会(法定)合併調印
平成12年10月4日 建設業協会3市合併に伴う代表者会議開催―3協会による暫定的な連合会を組織。
行政からも一つにしたらどうかとのアドバイスあり
平成12年11月8日 3協会によりワーキンググループ会議開催
平成13年1月25日 3市合併・総務大臣による3市の廃置分合の告示
平成13年4月9日 建設業協会「さいたま市建設業連合会設立協議会」役員会・設立準備委員会開催
平成13年5月1日 3市合併「さいたま市」誕生
平成13年7月18日 「さいたま市建設業連合会」設立、1年以内に建設業協会設立を目指す
平成13年8月28日 「さいたま市建設業連合会基本問題等検討会」始動
(1)支部制をとるかどうか(土木テリトリー確保のために支部制)
(2)正会員・賛助会員(支店業者)・設備・電気・造園業者の取り扱い検討
(3)法人化を目指す
(4)新市への要望
平成14年3月26日 「さいたま市建設業協会」設立総会、会員203社
平成14年3月31日 浦和・大宮・与野3協会ならびに連合会解散
平成14年4月1日 「さいたま市建設業協会」設立。3協会を浦和・大宮・与野の各支部に改称。常任理事会・理事会・8委員会設立
さいたま市は首都圏の交通の拠点であり比較的仕事量は多い。ただし街並は古い
行政の合併については市会議員が中心となり6年かけて実現
行政の合併が決定した時点で、すでに建設業協会合併の準備を始めていた
3市の背景が違っていたため、摺り合わせにエネルギーを要した
ワーキンググループ設立で具体策を練った
業界の体質を出すことをやめて、社会貢献で行政に提言を図った……企業倫理憲章策定
思惑でなく、実の部分で話を進めた
事務局位置は、全く新しい場所に設置
3協会合わせて219社予算規模50,000,000円であった(協会合併で16社退会)
会費算定基準の見直し……基本会費+年商付加金
繰越金の問題……支部制度をとって各支部に引き継ぐことで解消
初年度予算 203社・46,200,000円で組んだ
2年目である本年度(14年度)では10社指名の場合、旧浦和市物件では旧浦和市業者6:旧大宮市業者4、旧大宮市物件では旧大宮市業者6:旧浦和市業者4での比率となった
入札制度の改革については、今まで3市ならびに3行政とも問題を起こしたことがないので、市執行部と良好な関係を続けいたことが良かった
民意と政令指定都市という枠組みから、近い将来は地域分けはうまくいかなくなる可能性が高い。また首都圏であることから支店業者との問題も大きい
  合併1年目から新市の入札制度はほぼ大宮市に合わせる形になった。(新市の市長選では、当時の浦和市長が当選した)
制度
指名競争入札・一般競争入札・公募型指名競争入札
格付け 
下水道・土木・舗装・建築・電気・管に分け、それぞれA〜Dの4段階 
制限付き一般競争入札は1億円以上が対象
指名基準 
合併1年目の指名競争入札での業者選定は、旧市域(旧浦和・旧大宮・旧与野)を選定基準の一つとし、指名業者が足りない時は旧2市から選定した。
合併2年目には、Aランク対象のみ地域性を撤廃した。B・C・Dランクは現状通り現在も地域性を選定基準の一つとしている。
行政区は9区を設置したが、区役所発注は行っていない。
市内業者が受注した工事は、件数ベースで92.6%、金額ベースで86.5%と市内の業者受注が高い割合となっている。
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