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聞き手/小野 徹・県建設業協会広報部会副委員長

■■抱  負■■

――建設業界も大変な変革期にあります。そのようななかで第7代の会長に就任しました。いまのお気持ちを聞かせて下さい。

「社会に貢献する基幹産業」

生子 わたしたちいま、公共事業の抑制、建設市場の縮小、競争原理至上主義、入札・契約制度改革など、かつてないほどの難局・変革期の真っ只中にいます。しかし、どのような時でもわたしたちは、「社会に貢献する基幹産業」としての誇りと自信を失ってはなりません。その上に立って新たな発想で建設産業の構造改革を推進し、市場構造の変化に対応できる柔軟な経営戦略を打ち立てることが緊急の課題だと考えています。この難局を自らの力で抜け出すためにも、現状追認方式を捨て、各地区協会と緊密に力を合せて本県建設産業の発展のために努力していきたいと考えています。

 

■■協会活動■■

――協会活動も従来型ではなくて、新しい発想が必要だと会員は思っています。

政治、行政、住民、業界の協働で地域づくり

生子 これからの社会資本整備や地域づくりは、政治と行政と住民、そしてわたしたち業界の「協働」が不可欠です。地域のことを一番よく知っているのは建設業界です。そろそろわたしたちは、「造る」だけの建設業から方向転換する時代に来ています。わたしたちが持つ技術、知識、経験、人材、組織力は住民にも政治にも行政にも役立つはずです。その「協働」作業に参画していくのが、公益性を持った協会の大きな役割になっていくはずです。
 また、県建設業協会と地区建設業協会の関係についても同じようなことが言えます。県建設業協会は、県下10地区の建設業協会の連合体です。地区協会がなければ県建協は存在しません。各地区の協会は地域の実情の合わせ独自の事業を展開しています。県建協は、地区協会の声や意見や要望を結合させまとめ、関係する行政機関に対して提言や提案していく組織でなくてはなりません。各地域で活躍する会員企業が、夢と希望を持って建設産業に従事できるようなさまざまな施策を展開していかなくてはならないと思っています。

■■経営問題■■

――経営と技術力に優れた企業が求められています。協会事業の中でも、経営問題は大きなテーマですね。

キャッシュフロー重視の経営、新入札制度、PFIなどに対応

生子 建設投資が縮小していく中では、市場構造の変化に対応した経営が求められています。そのためには、会員企業のニーズに合ったきめ細かい施策を展開していかなければならないと考えています。具体的にはキャッシュフローを重視した経営、コスト縮減対策、新分野進出・業態移動対策、新しい入札制度やPFIなどへの対応も取り込んで事業展開を図っていく必要があります。
 また不良不適格業者の排除問題、業界における自主的な秩序の保持と倫理の確立、適正取引の推進を図ることなど、関係機関との連携を取りながら真摯に取り組んでいきたいと思います。

■■CALS/ECへの対応■■

――CALS/ECへの対応はどうでしょうか。

IT研修、CALS講習など積極推進しレベルアップ

生子 国も県も市町村も入札事務のIT化を進めています。業界も対応しなければなららいのは当然です。CALS/ECに対応できることは、公共事業に携わる企業の最低条件です。「わが社はCALS/ECも問題ない」というくらいのレベルになっていく必要があります。協会としてもこれを支援するため、従業員を対象としたIT研修、国や県のアクションプログラムと連動したCALS/ECに関する講習、CONET(コネット)や協会ホームページの充実などによる情報化の推進に取り組んでいきます。

■■防災・災害対策■■

――建設業の重要な社会的使命として地域の防災対策・災害対策があります。

変わらない協会事業の柱の一つ

生子 最初に言いました「建設産業は基幹産業」の中には、地域住民の生命・財産を守るための災害発生時における活動も入っています。地域から理解と信頼を得て、頼れる建設業になるためには住民の期待に応えていかなければなりません。災害発生時のガレキ対策の調査研究、隣接県の協会や国・県など行政との支援協定締結、防災・災害復旧に関する講習会など今までもやってきましたし、これからも協会の重要な事業の柱であることに変わりありません。

■■雇用問題■■

――建設産業界の雇用対策も、現在のような経済情勢を考えると大きな問題になってきています。この問題にはどう取り組むのでしょう。

「失業なき労働移動(セーフティーネット)」 にも力

生子 建設投資の減少、厳しい受注競争で建設業経営はますます厳しくなってきています。公共事業が景気対策として有効だった時代は建設産業は、雇用拡大、失業者の受皿産業でもありました。しかし今はそうとは言えません。余剰人員、余剰労働力を抱えるようになってきています。地元建設業は、縁故関係で採用しているケースが7〜8割です。大手ゼネコンのように会社の都合だけで人を削減することはできません。これにどう対応するかは、大きな問題であり、非常に難しい問題でもあります。
 この問題の対応の一つとして協会では、「失業なき労働移動」をテーマに掲げて、セーフティーネットの充実にも力を入れています。と同時に、若者や女性に夢を与え、生涯を託せる産業にしていくことが重要ですし、そのための人材確保や育成の必要性は言うまでもありません。そのためにも、設計され予算化されたものを競争して受注するという請負業・「川下産業」から「川中産業」「川上産業」へ力強い舵取りでたどり着きたいと思っています。

新しい協会活動などを話す生子会長と小野副委員長(左)
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